11月24日(月・祝)の文学フリマに出店します!
新作がいくつかありまして、まず本の方をご紹介します。
詩集「空にかける橋 100の短い詩」
むかしサイトに公開していた「the bridge to the blue sky」という短い詩の連作を文庫サイズの詩集にまとめました。
こんな作品群です。
18
もう
風車の夢は見ない、
青くてもろくてふやけきった
世界の果てのこと、
アルミニウムが匂う、
すべてがそのまぶたのうえで。
22
シャツと、
ジャムと、
太陽。
がらがら回ってたんです。
ずっと鉄塔が立って。
うつくしい鳥が鳴いて、
汚染されていくのを見ていました。
28
指がねばねばしてた。
あした、
ぬれたからだ、
しんだひとたちのねがえり、
路地のむこうで、
虹がいくつも飛び散って。
38
しずんでった、
ももいろの。
細胞のひとつひとつに
名前をつけた。
きょう、
一瞬だけ
かたつむりのツノのさきにふるえた。
旧サイトで発表したのが2003年ですので、もう10年以上前の作品です。サイトで発表したあと、朗読イベントで何度も朗読したものですが、その後いろいろあって、詩集にはまとめずにいました。今回あらためて詩集の形にした経緯は、巻末のエッセイに書いています。
装画は美術作家の大槻香奈さんで、「都市の底に沈む02」という作品を使用させていただきました。
絵を見たときから、この連作と通じるものを感じ、大槻さんにお願いしたところ、快諾をいただくことができました。
とてもうつくしい仕上がりになっています。
こちらは、電子書籍としてbccksでも販売をスタートしました。
電子版216円、紙の本1,016円で、bccksで直接購入することもできます。
文学フリマでは、少しおトクに900円で販売する予定です。
もう1冊。同じく文庫版です。
短編集「羽ばたき」
こちらはかつて同人誌「ウルトラ」「明空」および個人サイトに発表していた変な短編小説を集めたものです。
<収録作品冒頭部分>
直径1・5メートルの眼球
鳶子が毎日スーパーマーケットに通ってしまうのは、犬が自分の縄張りを散歩して、マーキングするのと同じようなものだった。夕方四時頃に起き出すと、まず近所のスーパーマーケットに行くのだった。
水爪
文字を書いていると、肌をかきむしられているような気がするの、と蔦子は言った。蔦子は毎日毎日真っ白な紙に文字を書きつけていた。夜になるとわたしは蔦子の部屋を訪れる、ほかに用がない限り毎日。昼間蔦子が何をしているのか知らなかった。
グジグジ
空気の中にびっしりと産毛が生えてしまったような湿った日。じめじめと長い長い産毛の束が、身体じゅうにまとわりついてくる。ガラスにももやもやとした産毛が密生し、外は見えない。こんな日は、きっとあれが来ているにちがいない。
魚のいない街
すうっと白い壁に閉じ込められる。扉と扉の隙間に目が吸い込まれる。身体がはさまって、線のように細くなってしまいそうになる。息苦しくなって見上げると、銀色に光る天井にわたしの顔が映る。1と書かれたボタンを押す。
というような、妙なタイトルの変な作品ばかりなので、正直読みたい人がいるかよくわかりません! しかし、これもなんとなくまとめてみました(ほかの収録作品 フタバハウス、穴あきドロップ、羽ばたき、長いリリアン、石をつなぐ男)。
こちらも電子書籍としてbccksで販売してます。
電子版216円、紙の本1,113円で、bccksで直接購入することもできます。
文学フリマでは1,000円で販売します!
いずれもbccksで電子書籍をお買い求めいただくことも可能です。
EPUB版もダウンロード可能ですが、見え方がかなりちがってしまいます。
bccksへの登録は無料ですので、bccks上でご覧いただくのをお勧めします。
また、紙の本もbccksで購入可能ですが、さらに送料がかかってしまいますので、文学フリマにお越しの方は、会場でお買い求めいただく方がかなりおトクです!
空にかける橋 100の短い詩
140字小説活版カードの新刊につきましては、また追って告知いたします!
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