秋ごろからとても忙しく、更新が止まってしまっていたのですが、昨年11月〜今年1月にかけて、新刊が3冊出ました!
まぼろしを織る ポプラ社 2024年1月刊
久しぶりの単行本です。
染織教室を営む家を舞台にした、染織家の叔母と暮らす二十代の女性・槐とその従兄弟・綸の物語です。
草木染めや藍染め、織物について調べるため、わたし自身も染織や機織りの体験をしながら書きました。
織物の世界はほんとうに深くて、神秘的で、心惹かれます。
織物の材料である絹糸は蚕から取り、草木染めは草や木の枝や葉、実などの生き物を使って染めます。
すべて生き物の命を使って生み出すもの。
物語の中心は「死」の重みで立ち止まってしまったふたりの若者の心の動きにあるのですが、染織の過程で出合う命の色濃さに心を奪われました。
文庫シリーズより重い内容ですし、読む人を選ぶとも思います。
テーマは「いつか死ぬと決まっているのに、なぜ生きていかなければならないか」ということ。
生きるのはけっこうしんどいこと、でも死ぬのは怖いから生きてる。
ずっと考えてきたことをストレートに書いた作品です。
読んでいただけたらうれしいです。
紙屋ふじさき記念館 あたらしい場所(角川文庫) 2023年11月刊
こちらは「紙屋ふじさき記念館」シリーズの最終巻。
そして、この本で「活版印刷三日月堂」「菓子屋横丁月光荘」と続いてきた「川越三部作」が完結になります。
「活版印刷三日月堂」シリーズが番外編含め6巻、「菓子屋横丁月光荘」シリーズは6巻、そして「紙屋ふじさき記念館」シリーズが7巻の合計19巻!
2016年からはじまって7年間、3シリーズにわかれてはいますが、つながっているひとつの世界を書いてきました。
これで終わりかと思うと、ちょっとさびしいです。
古い印刷所を訪れるさまざまなお客さんの目線から描かれる「三日月堂」、古民家を舞台にファンタジー要素がある「月光荘」、和紙の世界を舞台に大学生の女性が仕事に目覚めていく姿を描いた「紙屋ふじさき」、雰囲気はそれぞれ違います。
でも、舞台や登場人物は共通していて、こちらのシリーズに出てきた人がほかのシリーズに登場することもありますので、まだ読んでいないシリーズがありましたら、読んでいただけるとうれしいです!
うせものがかり(ポプラ社) 2023年11月刊
児童書です!
こちらも川越が舞台。小学校3、4年生が対象ということで、表紙だけでなく、本のなかにもカラーのイラストがたくさんはいっています。
川越に引っ越してきたまゆと、不思議な雰囲気を漂わせるクラスメイトつむぎの物語。
糸が物語の柱になっていて、ファンタジー要素の強い作品です。